ピュンピュン丸

女の勲章のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

女の勲章(1961年製作の映画)
4.3
原作 山崎豊子。3人の女弟子(若尾文子、叶順子、中村玉緒)と共に服飾デザイナーとして堅実に発展してきた大庭式子(京マチ子)だが、洋裁学校の経営者として事業展開していくなかで、八代銀四郎(田宮二郎)の力に頼るようになっていく…。

まるで西はじめ(『いなかっぺ大将』のサブキャラ)のような、関西弁をかます眼鏡顔の銀四郎(田宮二郎)が極度に慇懃無礼で、兎に角ぶっ殺したくなるほど憎たらしい。だが、よく考えると、最初胡散臭く思っていたにもかかわらず、どの女性たちも結局彼に抱かれていくのを見せつけられると、女というものの弱さを感じるとともに、それを通り越してそういう女性というものにも腹立だしくなる。

「だって、嫌ってたはずじゃないか?!」
自分は、銀四郎の計略に乗せられた若尾文子演じる女性に利用され、捨てられたサラリーマンの元カレに強く同情する。(ToT)

学者先生(森雅之)は、紳士的で人間的な深みのあるとても良い人のように見えるが、よく考えると、彼に対してもあとからじんわり腹が立った。女ごころのつまみ食いみたいな無責任さと冷たさを感じる。学者先生からしたら関係ないことのようだけど、そもそも銀四郎は彼の教え子だ。

純粋に仕事一途に打ち込んできた女性の心の隙間に、毒虫のように入り込んだ銀四郎。結局、銀四郎が報われることもないようだが、三人娘たちはこれを契機に強かに自立していく。

それにしても、新人田宮二郎の演技力は驚異的だ。