しーかず

ミッドナイト・イン・パリのしーかずのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
3.9
恋愛ロマンス要素が強めなのかなと勝手に思ってたけど、どちらかというと主人公のギルが偽りや妥協の人生を捨てて自分の望む道を見つける過程がファンタジーとして綺麗で軽快に描かれていた。設定はシンプルだけど斬新で、舞台が美しいパリの街であることと、その中でヘミングウェイやピカソ、フィッツジェラルドなど誰もが知る大偉人との交流も相まって楽しい気持ちで観れた。ジルを尾行する探偵がルネサンス期に迷い込んでたのもブラックユーモアで面白かった。序盤のギルと婚約者イネスと、知識人ぶった男ポールの夫妻とのやり取りが嫌〜な空気だったのが印象的で、ギルとイネスの感性が逆サイドにいる感じはしていた。みんなが「今は最悪、あの時代に生まれていれば」と思っているのはそれが人生というものだからで、その中でも逃げずに今生きている時代で生きなくてはいけないということにギルが気づき、ヒロインのアドリアナと話すシーンはかなり印象に残る良いシーンだった。個人的な感想だけど、「パリはどの街よりも美しい」がフューチャーされているだけにもう少し風景描写や食事風景などが多めでも良かったのかなというのと、終盤の畳み方が結構急に感じたので、もう2、30分長く楽しみたかったかも。ただ、ギルがイネスやその周辺に理解されなかった大好きな雨のパリで締めるところ、同じ価値観の女性が現れるのは綺麗なラストで素晴らしい。
しーかず

しーかず