ピンク

ミッドナイト・イン・パリのピンクのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ウディ・アレン監督作品は「マジック・イン・ムーンライト」しか見たことなかったけど、全体的な感想としてはすごく女性の描き方が「なんかモヤモヤするな…」って思いました。理由は愛人を肯定するような流れだからとか、主人公の婚約者がめちゃくちゃムカつくからとかでは無く、主人公の周囲の女性を通して、その時その瞬間の主人公の心理状態をとても感じて、まるで女性それ自体が主人公の心のフィルターのように思えてしまったから。

①婚約者:イネス=理性を大事にする自分に釣り合う人=今の自分そのもの。

②20年代の人:アドリアナ=理想の人。夢にまで見た黄金時代のパリそのもの。

③現代で出会うパリジェンヌ:ガブリエル=現代のパリを愛する人=本能と情熱に任せ、現代から黄金時代を思いながら自分の小説を書き上げよう、と決意した自分。

それぞれ主人公の相手の女性なのに、すごく主人公を感じる。とても不思議な感覚で、それでいてはっきり言って女性としては不快でした。笑 でも同じ人間としてはすごく共感しちゃう映画でした。

自分も常に「70,80年代のSFは良かった」「大正のファッションは日本が一番センスの良かった時代だった」「幕末の志士たちはみんな男気があって素敵」とか言ってる現代人なだけあって、まずのっけから主人公にバンバン感情移入してしまう。でも「それはいつの時代でも同じでは?」とウディ・アレン監督は問う。確かに今から100年後には「2010年代は良かった」って言ってる人が出てくるかもしれない。過去に戻れたとしてもネットやコンビニのない生活に不満が出るかもしれない。この物語は過去を夢見て、「今、この瞬間」を懸命に、情熱的に生きようとしない人に向けたメッセージがふんだんに込められている。

また、観光でありがちな「次!何時何分にどこそこに行かなきゃ!」「あれ買って帰らなきゃ!あれ見なきゃ!!食べなきゃ!!」等、細々した目的を達成していくのも楽しいんだけど、それだけじゃなくてふら〜〜と立ち寄った店でコーヒーを片手に街を眺めたり、風景を楽しみながら考えにふけったり、「その街に訪れている」時点で大きな目的は達成しているのだからもったいない精神を少しでも捨ててその街の姿を楽しむべきだよな、と改めて実感しました。
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