短小という劣等感を抱えている戯作者（谷本一）が、海千山千のネズミ小僧（益富信孝）から、男の尊厳を取り戻すための手管を伝授される。李笠翁（リリュウオウ）が著した中国の発禁本をベースにしている、日活ロマンポルノ。発禁本シリーズ第4弾。

脚本家・大和屋竺の作家性が押し出されている、艶笑時代劇の模範的作品。ネズミ小僧を性豪キャラに書き換えている艶本の作者が、短小克服を目指していく。すでにアングラ的な人気を得ているため、読者の女性から一目置かれているところが醍醐味となる。

見立てと比喩を交えた丁々発止のやり取りが面白く、「わちきがおまえさんの金魚を泳がせてみしょうわいなぁ」という、花魁（ひろみ摩耶）の啖呵がツボに入る。芹明香、東てる美、岡本麗、二条朱実といった女優陣が、はだけた着物のエロスを振りまいてくれる。

ネズミ小僧の性技を授かることになった主人公が、犬のぺニスを移植することにより、巨根化に成功。2代目ネズミ小僧として、女を貪り尽くしていくのだが、義賊となる本家ネズミ小僧の参上により急転直下。下半身に翻弄される男の哀感がひしひしと伝わってくる。

極小サイズの陰茎に犬のペニスを手術した男がねずみ小僧の名を借りて女性とヤリまくる話。荒唐無稽の喜劇だけど、どこか死の臭いが付きまとうのは正しく大和屋竺のホンって感じがする、行きついた先には何もない無常の世界。犬のペニスを移植してからの手淫で射精が飛び過ぎて屋根裏のねずみを撃ち落としたのはくだらなすぎて笑った。もしかしたら白井伸明で一番面白いポルノかも知れない。

衛星劇場
2017/02