odyss

ああ結婚のodyssのレビュー・感想・評価

ああ結婚(1964年製作の映画)
3.5
【イタリア住宅物語としても】

ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニによる、いちおうコメディ。「いちおう」が付くのは、ちょっと重い展開だからです。

個人的には、ローレンは好きではありません。この映画が作られたときの彼女は30歳。作中では17歳から40歳までを演じていますが、どちらかというと40歳の方がサマになっていますね。中年女の怖さがよく出ています。私としては、マストロヤンニが結婚を考えている若い女店員役の女優のほうが魅力的だと思いました。

そこにいくとマストロヤンニは最初から最後までそれらしく、情熱的でいい加減でどこか滑稽なイタリア男を好演しています。女を操っているようでありながら、結局は操られている色男が、彼にぴったりです。

少し視点を変えるなら、この映画はイタリア住宅物語として見ることができるでしょう。戦時中から戦後20年くらいのイタリアが舞台ですが、戦後間もない頃は破壊された建物も多く、そんな中で若い男女がその気になっても、今と違ってラブホテルなんかないわけです。空き家と思われる家に勝手に入ってコトを済ませたら、実は空き家じゃなくて住人が戻ってきてしまい・・・・というあたりは、単に滑稽であるだけでなく、当時の住宅事情が反映されているのでしょう。

その後、マストロヤンニがローレンに住居を選んでやるところだとか、マストロヤンニの実家の様子なども興味深いところ。後者は、一軒広壮な住宅のようでも寝室数が少ない。案外西洋の大きな家というのもそんなものだったのかな、と思いました。日本なら和室は食堂にも寝室にもなるから気にならないんですけどね。私もトシのせいか、映画を見ていると男女関係よりそういう書き割りのほうが気になってしまいます。上述のようにヒロインを演じる女優が好みじゃないせいもあるでしょうけど。
odyss

odyss