正直、全く笑えなかったけど、それなりにちょっとホンワカ暖かいのは良い。

劇団ワハハ本舗の映画と言う事でハチャメチャコメディーだと思ったが、良い意味で裏切られました。

北海道、夕張。雪の朝に突然灰色の幽霊達が現れ、最初は戸惑う市民達。やがて交流が始まり……。

夕張国際映画祭にオマージュを込めて喰始が企画。ワハハ本舗の役者を中心に、夕張市民を巻き込んで、オール夕張ロケで撮影した、ファンタジー映画。

少しダレ気味の所も有るが、ジワジワと染み込んで来るモノが有りました。
しかも、ファンタジー映画でありながらSFXを一切使わず、モノトーンの衣装やメイク、カット割りで幽霊感を表現してしまうのは、舞台人ならではですね。

良かった。
突然現れて６日間で消えていく幽霊に町の人々が夢中になるというのは分かりやすく映画祭のメタファーだと思うけど、それがそのまま映画それ自体のことに感じられる。
そこにいないけどそこにいる存在、急に現れてしばらくすると忽然と消える。そうか幽霊の映画とは映画の映画だったのかと気づいた。
この映画の幽霊は全身グレー１色で声を出さずに動くというのはまさにサイレント映画の登場人物のことだ。

映画館のない町に６日間だけ映画が現れる。そこに住民が楽しみやロマンや寂しさを見出す。
ゆうばりに降り積もる美しい雪が、しばらくすると忽然と消えてまた季節が巡っていくように。

美しい映画、美しい夕張が、私にとっても幽霊のように現れ、そして消えていった。

ゆうばりファンタスティック思い出映画祭2025にて。