ギョギョン

誓いの休暇のギョギョンのネタバレレビュー・内容・結末

誓いの休暇(1959年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

兼ねてより観たい観たいと思っていたが
なかなか鑑賞する機会に恵まれず、今夏、国立映画アーカイブで開催されたロシア・ソビエト映画祭に行くことも叶わずで、いつか観れたらいいなあ…くらいに思っていた、そんな私の思いを汲んでくだすったであろう神戸映画資料館様には感謝申し上げたい。

88分という短尺ながら、兵士である青年アリョーシャのたった6日間の休暇がこの世で最も尊いもののように感じられた。それは、アリョーシャという人間の素晴らしさゆえかもしれない。自らを顧みず、人のために行動する。自分の思ったことははっきりと言葉にする。こんなイケメンいるわけないと思ってしまうが、アリョーシャはそういう奴なんだ、アリョーシャ、、
つまり、アリョーシャだから、オールOK!なのである。

そして、忘れちゃいけない、むしろ忘れられないのがシューラ。可愛い。可愛すぎる。可愛すぎるのに美人ともいえる顔をしている。ずるい。あー、可愛い。

監督がシューラを可愛く撮るのが上手いという感想を見たが、あれは、既に可愛いのだ。アリョーシャも、出会った瞬間に恋に落ちてるやつだ。

と、少々話が逸れてしまったが、ただ単に美男美女のメロドラマと言ってしまうのはナンセンスだ。
休暇の間に出会って、お互いが恋して、お互いが片想いのまま別れる。こんなに悲しいことがあるだろうか?別れのとき、アリョーシャを乗せた列車が走り出す。シューラが追う。住所だけでも、と伝えようとするが列車の音にかき消される。アーーーーやめてくれ。そこは伝えてくれ。なんとか伝えてくれ。悲しいじゃないか。

そして、アリョーシャはシューラと別れた後、母の待つ故郷へと帰るのだった。しかし、大幅に遅れたため、母に会ってすぐ、戦地へ。
アリョーシャがもう故郷へ帰ってくることはない。シューラとも二度と会えない。
悲しいばかりのはずだが、鑑賞者たちはきっと、アリョーシャの優しさと人情味あふれた日々を再び、巡らす。
私はアリョーシャが故郷へ戻り、故郷を去ったあの道が脳裏に焼き付いて離れない…