ブラックユーモアホフマン

イディオッツのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

イディオッツ(1998年製作の映画)
4.0
挑発的。不謹慎コメディ。
これがトリアーらしさか。

着眼点は面白い。
そこに端を発して色んな広がり方をしていった。丸めた生地から細長い蕎麦を打つというより、楕円のナンを作ったみたいな話。だから、色んなレイヤー、切り取り方があって、どう受け取っていいのか一見しただけでは分からなかった。

『レインマン』とか『オアシス』とか、挙げ始めればキリないほどだと思うけど、障がいのある人の役を健常者が演じることの倫理的な違和感みたいなのってずっと感じてきたんだけど、それを提起するような映画でもありそうだと思ったり。『トロピック・サンダー』でベン・スティラーもそんなことやってた気がする。

一転、あのコミュニティの人たちもまた傷ついた人たちで、そのドラマも描きながら、ある理想を掲げた集団の欺瞞が次第に暴かれ崩壊していくドラマも描き(考えてみるとトマス・ヴィンターベア『アナザーラウンド』も似た話かも)、さらに実質的な主人公であるカレンはまた他の人達とは違うドラマを背負っているように見える。

また「ドグマ95」に則って作られた作品としても見どころがある。予算がなくても脚本や撮り方、編集が良ければ良い映画は作れる。何も高性能カメラで撮影した美しくて大迫力の映像だけが映画ではない。

【一番好きなシーン】
タトゥーだらけの集団の中に置いてくるシーン