8Niagara8

暗殺の森の8Niagara8のレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.7
長いものに巻かれるマルチェロ。しかしながら、少年期のトラウマを引き摺る。
確かにそのコントラストははっきり見て取れるが、やはり彼と権力性というのは切っても切れない関係にある。
ファシズムと彼の存在が決して符合するわけでもなく、彼の日和見主義的側面が色濃く見える。
イデオロギーとは結びつくことなく、自らが浴するものであっても、保身を優先する。
そこには多分なるエクスキューズもあるからこそ、最終的なアンナとの結末はショッキングである。
自己嫌悪的な感情に基づく「普通であること」への渇望は唯一確固たるものとして存する。
一方でベルトルッチの視座はあくまで抽象的で、あらゆる境界線を朧げなものにしている。

ラストのイタリア国歌はいかにもシニカルであった。
50年以上の隔たりを感じない驚異的な映像の美しさ。
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