Shelby

暗殺の森のShelbyのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.0
幼い頃性的イタズラを受け掛け、男を銃殺してしまった過去のトラウマに苦しめられているマルチェロ。もうすぐ婚約者のジュリアと結婚を控えている。普通を心から望むマルチェロは何故だか突然ファシズムを選び、その組織からある人物の殺害を依頼される。それは自らの師であるクアドリ教授だった。そこで出会うアンナに一目惚れし、彼女もまた、マルチェロを拒みつつ彼に惹かれていくのだが、この暗殺に2人は巻き込まれていく。

正直言えば、流されすぎな優柔不断男に苛立ちが募る。そして最後の彼の選択はきっと人間の奥底に眠る愚かしい一面が暴かれたのだと思うと、末恐ろしい。そして何より、彼がどうしてこうも人よりも「普通」を渇望するのかという根源が、幼少期のトラウマの数々により生み出されたものだという展開。トラウマの向かう先が意外すぎて理解に苦しむ。また、私にとって登場人物達の感情や思考が読み取りづらく感じてしまい、途中から中弛みして飽き掛けてしまった。

ただ、中盤のパッケージにも映し出されているジュリアとアンナのタンゴシーン。正反対の2人が女同士でタンゴを繰り広げる場面はやはり目を引くほどに美しく妖しげに映る。私にとってはここが1番のピークだった。
そして終盤。トラウマの根源である幼い頃強姦しようとした男が実は生きていると知り、今までの自分はなんだったのかと絶望し、マルチェロの中で崩壊が始まる。
性と政治を絡ませた作品をそんなに鑑賞してこなかったせいか、想像力の乏しさ故にあまりハマらず。絶賛されている映像美も楽しむ余裕がなく、難しかったのが正直な感想。
予め予習をしてから鑑賞することをオススメします。
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