2002年のＷ杯日韓大会では予選敗退を喫して2006年のドイツ大会出場に向け国のサッカー熱が高まる一方、1979年のイラン革命後はイスラムの戒律によって女性のスポーツ観戦が禁じられるイラン。アジア最終予選突破を賭けてホームにバーレーンを迎える試合を観戦しようと男装して訪れた女性達が繰り広げる悶着を描いたコメディ映画です。
多くの国際映画賞で評価されるイランを代表する映画監督で一部の作品が反体制的だと保守派に睨まれ2022年7月11日には当局に収監されたニュースも新しいジャファール・パナヒが手掛けた2006年公開作品で、日本戦における将棋倒しでの死傷事故ら現実を捉えつつも前向きな作風が評価されてベルリン国際映画祭では銀熊賞を獲得しました。
根底ではジェンダーを主題としてはいてもそれを押し付けがましく全面に出すことはせず、サッカー観たい！という真剣な女性達と試合が気になりつつも職務を全うしようとする警備員達とのギャップで楽しませる娯楽劇に仕上げています。思わず笑ってしまう掛け合いに心温まるラスト、熱中できる娯楽のある生活の豊かさを訴える一作です。
