「名作」と言うべき重要な映画はけっこうあるが、大好きな作品といえるのはなかなかないのではないだろうか。この『流れる』は何度でも見返したくなるであろう稀有な作品。
一つだけ気に入らないところがあるとしたら『流れる』というタイトルで、これは「時は流れる」とか「流れるような場面転換」とかいう常套句を連想させるが、この映画にある時間はそうではなく、むしろしっかりとした手応えのある、それ自体で常に充実している時間である。そのために、見ていてとても「元気が出る」映画だ。しかし考えてみれば、水の流れもまた空間を満たしながら進んでいくのだから間違いではないだろう。
