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トータル・リコールのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

トータル・リコール(1990年製作の映画)
4.7
ダグ・クエイド(アーノルド・シュワルツェネッガー)はいつも同じ火星旅行の夢を見てうなされる。ある日彼は<リコール社>を訪れ、模造記憶による火星旅行をすることにする。選んだプログラムは悪と戦う諜報員、そして夢と同じブルネットの女性と恋に落ちる--。しかし旅行は失敗した。彼は本来火星の支配者コーヘイゲン(ロニー・コックス)の片腕として働くハウザーという名の諜報員で、その記憶を全て消されて地球に送り込まれていたのだが、その消された記憶がリコール・マシーンによって甦り始めてしまったのだ。コーヘイゲンの部下もそのことに気づき、クエイドの悪夢のような逃避行が始まる。家に帰ってみれば、妻のローリー(シャロン・ストーン)は彼を殺そうとする。彼女は実はコーヘイゲンに送り込まれた監視役だったのだ。行き場を失なったクエイドに謎の男からスーツケースが渡され、その中のビデオモニターに映る彼自身が全ての事情を教え、火星に向かい、コーヘイゲンを倒すための極秘情報を取り戻すように告げるのだった。火星に潜入したクエイドはレジスタンスの一員であり夢の中の女性と同じメリナ(レイチェル・ティコティン)という女性に会う。クエイドをハウザーだと思った彼女はクエイドに抱きつくが、クエイドは自分は全ての記憶を失なっているのだと言う。最初は信用しなかったメリナだが、やがて彼をレジスタンスの指導者クアトーの元に連れて行き、協力してコーへイゲンを倒すことを誓う。しかしその頃コーヘイゲンはレジスタンスの本拠地である地区の空気供給をストップした。クアトーはクエイドに火星の先住民族の残した大気を作る反応炉リアクターの存在を教え息絶える。クエイドとメリナは、必死に反応炉リアクターを作動させようとするが、勢い余って空気のないドームの外ヘコーヘイゲンと共に飛び出してしまう。あの悪夢と同じ光景。2人はあやうく窒息死しそうになるが、その時突然反応炉リアクターが動き、大爆発の後、火星に大気と美しい青空が甦った。
フィリップ・K・ディックのSF小説「記憶売ります」を映画化。
デヴィッド・クローネンバーグが原作小説に忠実に映画化しようとしたり、ディノ・ラウレンティスの映画会社が制作しようとしたり難産だったけど、当時勢いのあったアーノルド・シュワルツェネッガーがカロルコ社に映画化権を買い取るように強く勧めてようやく実現したシュワルツェネッガー念願の企画。
「ロボコップ」などで容赦ない人体解体描写のバイオレンスを見せつけてきたポール・バーホーベンだけに、リコール社で記憶を初期化されそうになったクエイドが拘束具の尖った止め具で敵の頭部などを突き刺したりする過激なバイオレンス描写、低酸素の火星の環境の影響で顔半分が焼け爛れたようになったり腕やおっぱいが3つあったりするミュータントのフリークス描写など、ポール・バーホーベンならではの作家性が光っている。
「自分は何者なのか?」を探すクエイドのアイデンティティー探しの二転三転する展開が、フィリップ・K・ディックのテーマに忠実でスリリング。
クエイドの妻でコーヘイゲンの部下リクターから送り込まれたローリーを演じているシャロン・ストーンが、二面性があり女性同士格闘アクションをこなし「氷の微笑」につながる好演も印象的。
シュワルツェネッガーの役柄の幅を広げたきっかけになったSFアクション映画。
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