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ノーマ・レイのtheocatsのレビュー・感想・評価

ノーマ・レイ(1979年製作の映画)
3.0
米国70年代、原初的労組が作られる過程

テーマは男にだらしなく教養もない紡績工場勤務の一女性労働者が労組結成のリーダーとなり、人間としても成長していく過程を描いた物語とのこと。
しかし、個人的に注視したのが「プロの労組仕掛人」の存在。

右派保守層とされるやからからすれば「左翼コミュニストの手先」の仕儀に過ぎない為、当然労組運動には各種妨害・横やり、公的権力を用いた排除などを強行するわけだが、その描かれ方は比較的穏当と見えないこともない。実際はもっと激しい暴力、卑劣な奸計が行われていたであろうことは間違いないだろう。

結局、ヒロインは解雇されてしまうが、残された従業員が頑張ったようで(この場面は省略されているが、これこそ絶対描くべきだった。静かなる作業ボイコット場面だけでは不十分と感じた)全体投票で労組側が勝利。そしてそれを見届けた労組仕掛人は使命完遂となり町を離れる場面でエンドとなる。

労組仕掛人はモーテルに相当数連泊し、タイプライターや運動に必要な各種道具も山のように持ち込むなど、個人で動けるレベルではなく上司らしき人間などから中央組織の存在も示唆される。
そういった「組織的労働組合エージェント」が労働者の地位向上の他に究極的には何を目的としていたかを考えると興味深い。

映画としてはピリッとしたメリハリは感じられず、各エピソードのエッジもマイルドなので全体的なインパクトは弱め。
40年前の作品ということもあり、どこかのんびりした当時の米国南部の雰囲気をうかがうことが出来る。

002004
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