ツノメドリユージーン

ダンサー・イン・ザ・ダークのツノメドリユージーンのレビュー・感想・評価

4.3
陰鬱なのを覚悟して観たが、落ち込まなかった。
最近気分が落ち込む出来事が続いていたので耐性ができていたのかもしれない。
スルーしなくてよかった。

ミュージカルシーンが素晴らしい。
楽曲の素晴らしさと魂に響く歌。
ビョークの天才っぷりにおののく。
これは映画館で観たら感動増し増しだったろうに。
(U-NEXTで鑑賞)

ただ、当時は理解不能だったかも。
母になってから、母子ものに弱い。

ミュージカルだから観れた内容ともいえる。
セルマ自身もミュージカル好き。
私も子どもの頃からミュージカル好きなので共感した。
カトリーヌ・ドヌーブが工場のミュージカルシーンに出てるだけで至福。
『プレシャス』と似ている。辛い日常を歌や妄想で乗り切るのだ。
脳内不安を追い出す効果がある反面、現実に向き合ってない部分も、
楽観的なのも、そういう所が警官に秘密を打ち明ける隙をつくってしまたと感じた。
それはセルマの優しさでもあるが、ミスでもある。
他人の怖さ。今までよくしてくれた夫婦の裏の顔までは見抜けなかったセルマ。捕まっても真実を語らないセルマ。
息子と一緒に生きるよりも息子が失明しないことを選んだセルマ。
信じるままに生きた清々しさ。
ただ真実を息子に語ってほしかった。面会によんでもっと話してほしかった。この後、殺人犯の息子とレッテルを貼られる。それでも強く生きていくためにも。
警官も妻にお金のことを正直に言わなかった。
警官の妻もセルマの息子も蚊帳の外じゃないか。そんな苦いモヤモヤとした思いも残る。