らく

ダンサー・イン・ザ・ダークのらくのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンで痺れるほど泣いた映画。少し落ち込んでいるときに観たがそんなもの吹き飛ぶくらい衝撃的な映画だった。
この映画は重くて苦しい内容だが決して悲観的には描かれていない。そこがなんだかスカッとするような気持ち悪いような、そういう感触を残すのがトリアー作品である。

鬱で重い内容なのにミュージカルというのが面白い。でもある意味とても明るいのでは?どん底に陥ったときでもセルマの世界は音楽に溢れている。現実逃避なのかもしれないけれど。

音楽も良いし、撮り方も独特で好き。夢の中のようでいて、すごく現実的なような。

この映画は最後腑に落ちないっていう人もいるかもしれないが、これはもうこうなるしかなかったのでは…。この映画の中にはっきりした悪人はいないと思う。それぞれの人生があって、その折り合いをつけなければいけない。
なんで子供を産んだのか?という質問に対してセルマが「赤ちゃんをこの手で抱いてみたかった」と答えたところ。ここから最後までもう涙が止まらない。これはセルマのワガママなのか?普通のことが許されない理不尽さ…

どんどん悪い状況になっていくんだけれど、セルマの周りには助けてくれようとしている人もいる。きっとこんなエンディングにならない方法はたくさんあった。しかしそうはいかないのがラースフォントリアーという男である。
転落していく主人公を私達はなにもできずにただただ観ていることしかできない。いじめを目撃してかわいそうだと思いつつも見てみぬ振りをするような罪悪感がある。
結局人は一人で生きていると重い知らされる映画だ。自分を幸せにするのも不幸にするのも自分。セルマはある意味自分の意志を突き通した。

セルマはとても優しい人だけど見ているとイライラしてしまう。そう思わせる演技ができるのがすごい。

死刑を執行する直前、覚悟を決めていたセルマが急に 死にたくない、死ぬのは怖い、苦しい と悶えるシーンは生々しくてとても見ていられなかった。とは言いつつラストシーンすごすぎるので3回繰り返して観てしまった。
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