2度は観れません。
しかし、賛否両論あるものの私個人としてはとても好きな作品です。
1ミリの希望もないミュージカル映画です。この映画には絶望しかないのです。
セルマのような体験を、長い人生の中で経験する人はそう多くはないでしょうからセルマが絞首刑を言い渡される絶望感など、実際に首にロープをかけられる恐怖感など到底理解し得ないでしょう。そんな絶望を描いているのに到底共感などできないのになぜか、自らの些細な絶望さえこの2時間に溶かし出すことができたのです。
些細な絶望は底知れぬ絶望を私に与えてくれました。落ちるところまで落ちます。それでもこんなレビューを書いているのですから、絶望しきっている自分を楽しむ自分がいるような気もします。この映画を高評価する大抵の人がこの類の人間なのでは?と思っております笑。
ホームビデオのような撮影、映像でより一層のリアリティがありました。それはもう気持ち悪いくらいに。セルマの空想と現実の差がセルマを演じたビョークの表情はもちろんのこと、映像や色調で表現されていて秀逸です。ビョークの演技と歌声の迫力、それだけをとっても見る価値のある映画です。まだ見てない方が羨ましいです。2度目はしばらく見れません…