しましま

ダンサー・イン・ザ・ダークのしましまのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「目が見えないのか」
「見るべきものがある?」

タイトルの由来に納得(当初はかの有名な競走馬と関係あるのかと←)。

救いのない、報われない「名作だけど胸クソ映画」として本作を挙げる人も多いだろう。
「モンスター」のように、かすかな希望(救い)はあるものの、そんなものも霞むくらいの絶望感、逼迫感。メンタル落ちてる時に観たらダークサイドに引っ張られてしまうかのようなダウナーな世界。まるでドキュメンタリーのようなリアリティ。今まさに世界のどこかで同じような事が起こっているかもしれない。
そしてミュージカルパートのビョークの歌に鳥肌が立ち心が震える。ビリー・アイリッシュのようなハスキーでエモーショナルな歌声は本作にマッチし過ぎている。ビョークをキャスティングした人すごいわ。

周りに「苦しい、辛い、無理、助けて」って言えない人は多い。
セルマもそこまで意固地にならなくてもとは思うし、独力で乗り越えるには背負う物が重すぎる。
そして不条理ともいえる不幸の連鎖。
純粋すぎる彼女が生きていくにはこの世界は醜く汚れすぎていたのか。

ラスト、絞首台で穏やかな表情で歌うセルマに涙腺崩壊。