マケドニアの修道院で修行するキリル(グレゴワール・コラン)の部屋にアルバニア人ザミラ(ラビナ・ミテフスカ)が逃げ込んでくる。ロンドンに住むアン(カトリン・カートリッジ)は不倫相手の写真家アレキサンダー(ラデ・シェルベッジア)にマケドニア行きに誘われる。
マケドニア、イギリスを舞台にした3つの物語によって、バルカン半島で起きた悲劇が描かれる。
内戦からの難民が民族対立を生んで、マケドニア人とアルバニア人はただただ相手の存在を拒絶して、ついには身内を殺してしまうほどに価値観が歪んでしまうのが恐ろしい。
1つ目のエピソードが、戒律と保身と赦しがテーマになっていて、ドラマティックな展開をもうちょっと観たかった。
一方で、2つ目はなんともドロドロしてて、この世界に安全な場所なんかないことを見せつけられる。
そして、3つ目で物語の始点が語られるとともに、この悲劇の連鎖が永遠だということが示される。
これぞまさに悲劇のタイムループ。
タイトルになっている雨は、彼らにとって恵みの雨ではなかったみたいだ。