shen1oong

おおかみこどもの雨と雪のshen1oongのレビュー・感想・評価

おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)
4.5
細田守が嫌いだった。
例えば「サマーウォーズ」でのわびすけに対する親戚連中のあまりの冷淡さ。「どんだけ優秀になってもこっちのルールに従ってもらわんと認められん」と言わんばかりの田舎根性。しまいにはババアが政府関係者に激励の電話を入れることがまるで「良きことかのように」描かれているのが、うるせーよ仕事させろよてめえ、と終始イライラしてしまっていたのだった。
それは翻っての「時かけ」において、主人公つばさが時空改変をした反動のせいで、調理実習のミスをしてしまうオタク少年の冷酷さにも表れていた。それが原因でイジメに合い、それにキレ返すことを「良くないよ〜」と否定され、最後のブチ切れを単なる個人の身勝手に見えて、最後に無理矢理退場させられるという(つばさの身勝手さはまったく責められないというのに)
こういう部分に関して「この人、実のところ人が不平等であることをすげえエグく書いてるのに残酷さを隠してねえ?どっちかっていうとバーホーベンとか昔のティムバートンみたいな」と思ったのですが、
今回は完全にその距離感が完全に決まったというか、すごいはっきりそれがでて、かつ前者にあったような「それがまるで正しさとして受け取られるような感じ」もなくて(いや、そう思ってる人もいっぱいいるんですけど)
だって、花は最初っからあれ、おかしい人じゃないですか。おおかみおとこの出会い頭からさぁ、あれは…というか、おおかみおとこを色々な比喩(ヤクザであったり、左翼系まで様々?)で解釈するんだけど、まあ、ああいう人に入れあげちゃうタイプの女子、っぽさが
これを「強い母の物語」だと思って肯定もしくは強い否定をされたりもするんだけど、これ、母の話じゃないっすよ。男の面影をもってる息子に異常に入れあげる母親の話で、結果として娘をほとんどネグレクトする女の話ですよ。語りは雨の視点からナレーションがあるというのがミソで、そんな母親をいかに肯定するかという視点で見るとまた面白いと思います
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