一人旅

河の一人旅のレビュー・感想・評価

(1951年製作の映画)
3.0
ジャン・ルノワール監督作。

インド、ガンジス川流域を舞台にアメリカ人の青年に想いを寄せる三人の娘の恋模様を描いたドラマ。
ルノワールがインドで撮ったカラー作品で、インドの色鮮やかな日常の風景を映し出している。悠々と流れるガンジス川にガート(階段)。聖なる川で沐浴する人々、伝統的な祭を心から楽しむ人々、蛇遣いとその様子を見物する人々。色とりどりの野花が単体でクローズアップされ、物語以上にインドの美しい自然風景を見せることに力を入れている。
インドに生きる人々の生きる強さを感じさせる。どのような不幸に襲われようと現実を受け入れ常に前を向いて生きていく、というインド人の希望的生き方が、人々の祈りや踊り、一瞬一瞬の喜びを躊躇いなく享受する姿を通じて伝わってくる。そうしたインド人の生と死に対する一貫した姿勢が、やがて外国人である娘の生き方にも影響を与え、死の悲しみの果てに生の歓びを見出していくのだ。
一人旅

一人旅