tak

悪い種子(たね)のtakのネタバレレビュー・内容・結末

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ナチュラルボーンキラー(生まれついての殺し屋)という言葉もあるし、人の残忍さは遺伝するものという考え方がある。子供の言動を見ていて、「あちゃー、あの頃のオレと同じようなことやってるよ」と思うことは、子育ちしていてしばしばある(汗)。生まれた後の育ち方の問題だけとは思えないことは、確かにあるとは思うのだ。

善悪の区別が希薄な少女に向き合う母親の苦悩を描いた舞台劇の映画化「悪い種子」。「哀愁」や「心の旅路」などクラシックの名作で知られるマービン・ルロイ監督が、1950年代にこうしたテーマを扱っていたことに驚く。異常心理による犯罪映画代表作であるヒッチコック先生の「サイコ」も、子供の驚くべき行動で恐怖する「光る眼」も1960年の作品。サスペンスやSFであるそれらとは異なり、日常に起こりうる怖さだけに、「悪い種子」はかなり挑戦的な作品だと言える。「結末を話さないでください」めいたメッセージが最後に映されるが、同様の注意を宣伝文句に使った「サイコ」より先。

母親が苦悩し始める後半が見ていて痛々しくて、それだけの映画だったら投げ出してたかも。並行して、使用人との腹の探り合い、善良な娘と信じている家主のおばさんとのやりとり、被害者の母親や学校関係者と様々な関係が次々と絡んできて、気持ちが落ち着く暇がない。追い討ちをかけるように繰り返されるピアノのメロディ。驚愕の結末まで目が離せない。舞台劇の映画化だからなのか、カーテンコールのようなエンディングが付け加えられている。




(以下ネタバレ注意!)



ミア・ワシコウスカ主演のある作品にも同様のテーマが登場する。同じ行動をとる姿に、背筋に寒気が走った。
tak

tak