si

フェイドTOブラックのsiのレビュー・感想・評価

フェイドTOブラック(1980年製作の映画)
4.0

昼夜を問わずひたすら映画を見ている映画ファンの男

ムービースターのポスターが壁に隙間なく貼られ
置いてある映画グッズも数多く
映画ファンからすれば夢のような部屋だが、
そうでない人から見ればガラクタだらけの汚い部屋。
そんな中で病的な顔をしながらひたすら映画を見ている。

映画好きからすれば何とも羨ましい生活だが、一緒に暮らす叔母にはまともな人間になれと怒鳴られる日々でもある。

そんな男が人生の転機を迎え、
今まで溜まりに溜まった社会への怒り、周りの人間への怒り、そして映画の知識を爆発させて
映画のワンシーンになぞらえた殺人を犯していく。


古い映画を見てる人は二倍楽しめるはずだけど、そうでない人にも十分面白い映画だった。

映画ファンの男が映画のキャラクターを演じきる姿は滑稽にも見えるけど、どこか哀れな姿にも見える。

基本的には周りに裏切られてきた男の復讐劇なんだけど、
それだけじゃない哀しさと面白さがある。


映画の主人公になりたかった男
映画の主人公になれなかった男
憧れの女優と共演したかった男
誰かに求められ、憧れられる男になりたかった
そんな彼が最後まで演じきった役は「白熱」のコーディ・ジャレット

そしてまたそんな彼が主人公である映画を見ているこちら(観客)もまた、彼の「ストーリー」の一部に感じる素晴らしい映画だった。
si

si