1980年代、冷戦による東西核戦争が勃発。イギリスの片田舎に住む老夫婦は、子供時代に経験した前の大戦に思いを馳せつつ、政府発行のマニュアルに従って緊急時の準備を進めるが…
原作は1982年に発表されたレイモンド・ブリッグスの同名漫画。
子どもの頃これを読んだ時は、夫婦の茹でガエル的ムーブにかなりショックを受けた。
久しぶりに映画で見て思ったのは、おそらく市民にパニックを起こさせないように、やるべき対策を細かく指示している政府発行のマニュアルがひどい。疎開せよとは一切書かないで、自宅の屋内で60度の角度に板をならべて簡易シェルターを作り、窓には白ペンキを塗り、水と食料を準備して、食器を洗うための砂も用意して云々、被災後生き残って手持ち無沙汰になったときの過ごし方(ゲーム等)まで書いてある。実際にこういうのがあったのか分からないが、もしかしたら、市民というよりも政府に対して、皮肉たっぷりの作品だったのかなと思った。
日本でも原爆がいつ頃どこに落ちるか、実は事前にある程度知られていて、広島の時は密かに疎開した人もいたようだし、小倉では煙幕を張ったらしい。3番目の新潟になって初めて疎開命令が出た(投下されなかったがターゲットになっていた)。戦争というのは無茶苦茶だとしみじみ思う。