菩薩

家庭の菩薩のレビュー・感想・評価

家庭(1970年製作の映画)
4.2
結婚し家庭を持ちなんなら赤ん坊まで産まれるアントワーヌ・ドワネルであったが、中身は相変わらずの社会不適合者っぷり、愛妻が子育てに励む傍らドワネルは自分のムスコのお世話に文字通り精を出す、流石俺達のドワネル、期待を裏切らない。にしてもマドモワゼル・キョウコとの浮気が発覚する際のあの謎コントはなんなのだ、あと日がなラジコンボートを水に浮かべる誰にでも出来る簡単なお仕事もよく分からないし、就職面接のワタシエイゴハナセマスコントも面白い。子供が出来て真っ先にユスターシュに電話するドワネル、妊娠に勘付く流れのジャック・タチ感から駅のホームに突如出現するユロ伯父さん、ドワネルに会う度に金をせびる借王、不気味な絞殺魔(『去年マリエンバートで』の声帯模写)、「勝手にしやがれ」の捨て台詞。纏まりがないっちゃないのかもしれないが、これくらい本気で遊んでるトリュフォーの方が好み。義父の「家庭を出ずして家庭は守れず」と同僚のセクハラ野郎の「ああ、僕に乳房があったらな」は全男性の…じゃなくてトリュフォーの心の叫びだろう。窓越しに歯磨き粉投げるシーンの可愛さに殺される。
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