幕のリア

第50回全国高校野球選手権大会 青春の幕のリアのレビュー・感想・評価

3.5
市川崑監督による第50回全国高等学校野球選手権大会のドキュメンタリー作品。

野球ファンにとっては当然ながら、昭和43年当時の時代風俗を見るだけでも充分楽しめる。

センチメンタルな青春ドラマを炙り出すのではなく、映画としてのアングルで叙景的に映像を紡ぎ出しているのが素晴らしい。

また、地方高校の練習の様子と戦後の日本とは思えない野蛮とも言える風景にも驚かされ、冬から春、そして夏へと、それぞれの季節が美しく捉えられている。

甲子園での熱戦の模様は一体何台のカメラを使い、どれだけのフィルムを消費したのだろうか。
テレビ番組では決して伝わらない熱量に驚かされる。

昭和51年以降からようやく連続出場している沖縄代表校。
この時代はどういう事情か出場はあったりなかったり。
いや、その前に沖縄返還はこのフィルムの四年後の1972年。
本大会でベスト4入りを果たした興南高校の四番キャプテンを務めるのが、同校元監督の我喜屋 優。

決勝戦。
準優勝校である静岡商のエースは公務員ばりの黒縁眼鏡をかけた大型左腕、新浦壽夫。

木製バット。
縦縞など無いクラッシックな各高校のユニフォーム。
派手なブラスバンドなぞ無い男臭い花の応援団。
高校生とは思えない精悍な顔や獰猛な顔の数々。

野球ファン必見の作品。
幕のリア

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