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ヒトラー 〜最期の12日間〜の数奇のレビュー・感想・評価

ヒトラー 〜最期の12日間〜(2004年製作の映画)
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ニコニコ動画の某空耳で有名な作品。自分も学生の頃はそれらの動画で笑い転げていた一人だったが、大人になって海外小説などを読んでいると高確率でナチスとユダヤ人の問題が出てくるので、もっとこの問題の知見を高めたいと思いこの作品を観ることにした。
当然ながら息を呑むほどシリアスな内容。
ソ連軍に追い詰められても絶対に降伏を認めず、国民の犠牲にも同情しないヒトラーの冷酷さと、その一方で仲間や子供たちにはとても心優しい一面が描かれる。ヒトラーのカリスマ性や二面性は最近読んだナチスに関する本にも書かれていた。
終盤は次々と人々が自決していく重苦しい内容だが、恐ろしいのはこの映画内の出来事が事実であることで、映画の最後には登場人物たちが実在する人物たちであることを改めて実感させてくる演出があり、戦慄する。
しかしあくまでこの映画ではホロコーストなどは描かれず、ソ連との最終戦闘のみが描かれている。ユダヤ人虐殺などの背景をふまえるとまたこの作品の見え方が変わってきそうで、色々と考えさせらる。
この史実そのものが恐ろしいのは当然としても、言葉で語らないシーンの一つ一つに凄みがあり、純粋に映画としての見せ方なども素晴らしいと感じる。
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