Taisuky

チェイサーのTaisukyのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
5.0
ナ・ホンジン監督デビュー作。原題は「追撃者」。連続殺人鬼チ・ヨンミン(ハ・ジョンウ)を元刑事オム・ジュンホ(キム・ユンソク)が「追撃」するというシンプルなストーリー。刑事をやめたジュンホはデリヘル経営者で善人ではないが、商品であるヘルス嬢(ソ・ヨンヒ)を取り戻すために「追撃者」となる(そう、善意のチェイサーではないのです)。
演出として、追撃者も殺人鬼も内面を描くようなセリフはほとんどなく、追撃の過程で様々な感情が滲みだすような演出がなされています。そのため、俳優の力量が問われる事となり、もしこの二人で無く下手な役者が演じれば、単純な勧善懲悪ではないので、焦点がブレ、絶対に駄作になっていたと思います。
ハ・ジョンウは殺人者ですが、後半、逃げた女への「追撃者」にもなって行く。この辺りがタイトルを象徴していてドキドキしました。そして、追うキム・ユンソクのヒリヒリとした緊迫感あふれる演技(暴力シーンがすごい!)とくに表情が素晴らしく、正に顔芸で、表情で、ストーリーを構成していきます。ここいら絶対にお勧めです。満点付けたのもここを観てほしいから。本当に素晴らしい俳優!そしてヘルス嬢(ソ・ヨンヒ)の幼い娘役がキム・ユジョン!天才子役ですね、かわいらしい。コンビニのセッピョルとか観た人にも観て欲しいですね。作品数が少ない監督ですし、次作の「哀しき獣」「哭声」も含めて必見です。
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