誤宗黒鳥

チェイサーの誤宗黒鳥のレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
3.0
この作品も随分前から評判になっていたが何となく観ないまま今日に至っていたところ、ようやく鑑賞。
まー、正直言って思う所は少なく、色々と半端な気もする。なにせ元の事件の方が殺した人数も多いし社会問題としても色々と抱えていたらしいので本作でのやたらご都合主義な主人公の見逃され方(散々公務執行妨害やら傷害やら働いてるのに無罪放免は元警官にしても無理がある)を筆頭に粗が目立ってしまう。確かにやたら生々しいアクションシーンや薄気味悪く曲がりくねった街並み、犯人が奪っていた家を誰も分からずにずっとその周りをうろうろし続ける滑稽さなど面白いところは面白いが、やはりどれも半端な印象を受けた。


2000年代の「オールド・ボーイ」と「殺人の追憶」が本格的な韓国映画との出会いだったのは良かったが、問題はその後の他の韓国映画になかなか手が出せなくなった事だった。特に「殺人の追憶」には雰囲気から何まで好きで何度も観続けてしまい、あれほどの愛着を持てる映画はもうないだろうとも思える程だった。実際、あれが基準になってしまったら他の韓国映画を観る目が厳しくなるのも当然であり、実在の事件を基にした映画となればなおさら。それをどのようにして扱うかについては取り返しのつかない問題なのだろうとも思う。そう考えると改めてあの「殺人の追憶」の名作ぶりが分かるわけでもあるのだが。
誤宗黒鳥

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