アキラナウェイ

チェイサーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
4.2
久し振りに韓国映画。
やはり韓国映画の猟奇殺人モノは容赦がない。
とことん残酷に。
黒く、暗く、観ている者を絶望という名の闇のどん底に叩き堕とす。

元刑事のオム・ジュンホ(キム・ユンソク)が経営するデリバリーヘルスで、ヘルス嬢が次々と失踪するという事件が発生。新たに姿を消したキム・ミジン(ソ・ヨンヒ)の客の電話番号が、容疑者のものと一致していると気付いたジュンホは単身、男の行方を捜す為、夜の街を走り出す。

「チェイサー」のタイトルに嘘偽りなく、
どこまでも、容疑者の男を追いかけ回す、執念の男ジュンホを演じたキム・ユンソクの熱演!!

韓国、坂道多い〜〜!!
坂道全力疾走はマジでキツそう!!

そして、容疑者の男チ・ヨンミンの無表情の中に潜む狂気を演じたハ・ジョンウの怪演!!

一見普通そうなのが、一番怖い。
ノミとカナヅチって怖いなぁ。
カナヅチだけじゃなくてノミがなぁ。
でも、上手くいかなくて、割とカナヅチでぶん殴っていたけど。

追う立場であったジュンホが警察に追われる立場に回ったり、早々に逮捕された容疑者に対し、証拠が見つからない限りは釈放されてしまう恐ろしさを描いていたりと、刻々と移り変わっていく展開に終始惹き込まれっぱなし!!

ヘルス嬢を"商売道具"と捉えていた筈のジュンホが、次第にミジンの生存を切に願う様になり、彼女の娘との擬似親子とも言える関係性を途中描く事で、鬼気迫る程の気迫で追う、完全なる"追跡者"へと変貌していく様子も素晴らしい。

本当の絶望とは、
一度感じた絶望から救い出され、
ほんの一筋の希望が見えたその後に、
再度叩きのめされる絶望の事を言う。

「終わった…」
本当に口をついて言葉が出てしまった。

この結末は、あまりに遣る瀬ない。

なるほど。
「哭声(コクソン)」のナ・ホンジン監督による長編デビュー作品でしたか。容赦ない筈だ。

そして、これが実際に起きた「ソウル20人連続殺人事件」に基づいていると知って、尚の事震える。

グロ耐性があり、かつ本当の絶望を味わいたい方にはおススメです。