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チェイサーのYMのネタバレレビュー・内容・結末

チェイサー(2008年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

これを創る韓国映画はスゲえよ。画面に喰らいついて終わったあとは放心するしかない。

ストーリーは簡単。元刑事のデリヘル店長が、監禁された自分の店の嬢を救い出すために、電話履歴をもとに追いつめる。店長は、最初こそ、相手は嬢を別の場所に売るために拉致していると思っていたのだが、じつは彼はデリヘル嬢ばかりを狙って十数人をすでに埋めた殺人鬼で……。

いつからか嬢の生存が示され、脱出を企てるパートが加わることで、店長には、どうしても証拠を見つけたいがなかなか成果の上がらない警察(店長の古巣だが、なかなか横槍も多くヘタを打ち続ける)とともに、「生きているうちに彼女を見つける」というタイムリミット・ミッションが課されるが、そのサスペンスが本当に見事。

あと少しのところで、手からすり抜けていってしまう展開が、観ているものも神経をヒリヒリさせる。
そうしているうちに、最初こそ資産を取り返すことしか眼中になかった店長も、ひょんなことから追跡行に嬢の娘が加わったことで、だんだんと救出に決意が固まっていく。その変わりゆく心理描写もよい。

殺人鬼の家をついに突き止め対峙する店長。彼が倒れた殺人鬼にの頭に狙いをつけてハンマーを振り上げたとき、嬢と娘の顔がフラッシュバックする。ようやく警察が追いつき、やめろと叫ぶ。そして……。ラストに抱く感情は、安堵とも落胆ともつかないもので、ヘヴィーなボディーブローのようで、きっとここでしか出会えない。
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