このレビューはネタバレを含みます
原作はシェークスピアの「マクベス」。
舞台を戦国の日本に置き換え、
能の様式美を取り入れた黒澤監督の意欲作であり、超大作。
合戦の手柄の報を伝えるために蜘蛛巣城に向かった二人の武将。
行き慣れた道のはずなのに森の中で迷ってしまい、
そこで不思議で不気味な老女と出会う。
老女は二人の武将に、
『一人は蜘蛛巣城の城主となり、
もう一人は、一の砦の大将になる』と予言する。
最初は一笑に付したふたりだったが・・・
傑作ぞろいの黒澤作品の中なんですが、
僕は、この作品もっと評価されていいと思います。
何とも言えない幽玄な雰囲気。
霧の中から蜘蛛巣城が姿を現すシーンは身震いがした。
大勢のエキストラによる迫力あるモブシーン。
次第に狂っていく山田五十鈴。
手についた取れない血を、
ボソボソ呟きながら必死で流そうとするシーンは圧巻だ。
圧巻といえば、
森が動くシーン。
すごい、すごいよ。
相変わらず黒澤監督は自然現象に演技をさせるのが巧い。
霧、雨、雷鳴、そして風。
そしてクライマックスはおなじみですよね。
いつものヒューマニズム賛歌を一切封印した本作。
こんな作品を作っていた時代はやっぱりすごいと思います。