HidekiIshimoto

蜘蛛巣城のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
5.0
黒澤活劇の『七人の侍』に並ぶ頂点はやっぱりこれ。どこからどう観ても神活劇。お猿の俺に原作のマクベスまで背伸びで読ませてしまう教化映画。ほんと何べん観ても戦慄の人間ドラマ。霧中の城跡から浮かび上がる黒々した城。この冒頭でもう戦慄。今回は特に山田五十鈴のリアル能面演技に全身戦慄。蠢く霧の演技はもはや名演技。あの戸板に刺さる無数の矢は大学弓道部にほんとに撃たせたとか。逃げまどう三船は本気の恐怖で演じながら「ぶっ殺してやる…」と思ってたとか。『七人の侍』決戦シーンでは怪我骨折凍傷を見かねた助監が「死者が出ますよ」と訴えたのに「ああ仕方ないね」と言い放ったとか。神かと思ったら悪魔だった黒澤明。頭と最後に歌われる「執心の修羅の道 昔も今もかわりなし」。ほんと変わりませんね。とうとう逮捕までチラついてきた安倍派5人衆の皆様は、これウォッチパーティーでもして感慨に耽るのも一興かと。