くりふ

飾窓の女のくりふのレビュー・感想・評価

飾窓の女(1944年製作の映画)
3.5
【窓開けずとも悪夢はやって来る】

邦題はこうですが、アムスの売春街のお話ではないのでした(笑)。

フリッツ・ラングの演出は、落ち着いていて、地味だけれど的確ですね。例えば「他人に見られてはならぬデンジャラス・ゴミ出し」だけで、これだけ緊迫できてしまうのは、やっぱり的確なのだと思います。

ただ、オチがねえ…難しいところ。ギリギリセーフかな、とは思いますが。主人公が夢中になる「窓の中の女」が、窓の向こうで生きる女、ではない点で。

またこれがメタ的に、観客が映画に求めるものへの皮肉にもなっていますね。このオチではノワールと言い難いとも思うのですが、よい結末とは思います。

冒頭、主人公の中年クライシスを丹念に描いたことが、後から効いて来る。そして女は、窓の向こうではなく、オチの逆算からは正しい形で現れますね。主人公は心理学の教授だから、この辺、きっちりしているのでしょう(笑)。しかしこの先生、これなら作家としても成功できるんじゃないか?

ジョーン・ベネットさんの存在感は、ちょっと綺麗なお姉ちゃん。男に囲われている感じがよく出ています。これがここでの「理想の女」か(笑)。彼女、ベッドに伏せた時のボディラインが素晴らしい!肌を見せずとも、こんなそそる姿って、ちゃんと撮れるんですよねえ。

(当時)先日、シネマヴェーラ渋谷で開催されたノワールの特集上映で、本作の後、主要な同キャスト・スタッフで作られた『スカーレット・ストリート』の上映があったんですが、行けず…。本作のエドGさんと、ジョーンさんのコンビはギャップが面白かったので、やっぱりそちらもみてみたいですね。

<2012.12.11記>
くりふ

くりふ