IT坊や

ザ・セルのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・セル(2000年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

他人の意識ダイブ系。
パプリカにも近い設定だけど、実写でこうした映像を見るのは新鮮でした!

最初の砂漠のカットを始め、非現実な精神世界はかなりアーティスティックで、面白い絵が多いですね!
犯人カールの性癖も異常すぎて、ハテナマーク浮かびまくりでしたが、それはそれで良かったかな。(反面、映像表現が行きすぎて、やや滑稽に感じた所もありますが。)

ただ、人の心は複雑なんてものじゃないから、しょうがないんだけど、映像の意味が分からなすぎて、一つのストーリー・線として捉えるのは中々骨が折れそうです。

最初こそ、①「黒い犬」は、彼の中の悪魔の象徴なのかな?だからこそ、アルビノの犬を飼っていて、被害者も漂白してるのかな?とか、②「馬」というのは、フロイト的には男性器の意味があるから、それが輪切りにされるというのは、去勢恐怖を表しているなかな?とか、色々考えてみたのですが。

途中からは、あんまりついていけず。考えるな、感じろ状態になっていました。ちゃんと考察したら、色々面白いのかもですけど。

あと、ストーリーもやや不満があるかな。FBI捜査官は、女性を助けるヒントを夢の中で見つけるわけですが、「いや!機械の製造ルートくらい真っ先に調べんかい!」とツッコみたくなりました。あんな独特な機械、そうないだろうと。アメリカだと普通なのかな?

また、カールを殺す必要性も、あんまりなかったよなぁと思ってしまいます。
キャサリンとしては、少年の彼を救いたかったんだろうし、元の世界には戻したくなかったんだろうけど。それって、カールが言ってた、「親父に殺されるから、おれが殺した。救ったんだ。」って論理と全く同じですよね。

でも、その結論に至る事って、果たしてどんな意味があるんでしょう?
いや、何となく美しく物語が締まったのは分かるんですけど、それ以上に、あの結末に意味を見いだせなくて、少し混乱しました。

虐待とか、統合失調症とか、犯人側の事情を色々語ってる割には、そこをフォローするでもなし、事情を踏まえた上で正面から断罪するでもなし。結局、何が言いたいんだ?と思ってしまいます。
犯罪者の恵まれない境遇をどう扱うかって話は、かなり議論があるテーマだと思うので、明確な回答を出す方が違和感があるのも確かなのですが。

とまぁ、ついていけない所もありましたが、こういう変な映像を観れる作品も珍しいので、それなりに満足感はありました。
IT坊や

IT坊や