IT坊や

mid90s ミッドナインティーズのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ非行少年映画。
不思議な味わいのジュブナイル。少年非行をエモーショナルなパッケージで多面的に描いてて、興味深く観れました。

まず、彼らの連帯や寄り合いが良いですね。
家庭に居場所がなかったり、貧困で選択肢がなかったり。「行き止まり」感のある人生の中で、互いを必要としている。
褒められたものじゃないし、すごく迷惑なんだけど、そこで悪ぶって認め合う事で、なんとか人生を繋いでいる。非行にはそういう魅力が確かにあるんだよなと思い、少しハッとさせられました。

また、非行は癒しの獲得手段であると同時に、力への志向でもあるように思います。
暴力とか威圧的な態度っていうのは、ちゃんとした社会生活の中では排斥されるけれども、それが通用してしまうコミュニティでは解決手段として手っ取り早いし、自分を支えるものになってしまう。

勉強をしたり、スポーツに打ち込んだり、そういう積み重ねができる人なら良いけれども、色んな事情でそれが難しい人にとっては、やっぱり魅力的に映るよなぁと。

スティーヴィーも、兄の暴力や家の問題(母の男性問題?)という、自分ではどうしようもない壁にぶち当たって、力と癒しを求めてスケートグループに加わったように見えました。

ただ、未熟で規範を逸脱した集団に身を置くってことは、それなりの代償を伴うわけで。
喫煙にドラッグ、挙げ句の果てに事故による怪我と、あんなに可愛かったスティーヴィーが堕ちていく様は悲惨です。

ああいう交流の中で、レイのようにちゃんと自分を保っていくことは、そう簡単じゃない。大体は、ファックシットになっちゃうでしょうね。じゃあ、スティーヴィーはどうすれば良かったのか?その問いに答えるのは、また難しいのですが…。

あとは、みんなで病室に集まったラスト。レイは、「お前はこんな悲惨な目に遭う必要はない」と言っていたけど、彼らのグループはあそこで解散となるのかな。
哀愁を含んだ雰囲気と、ビデオを映す洒落たエンディング。最後まで魅力的な作品でした。

非行を見つめ直す良い体験になったと思います。こういうジュブナイルも良いですね!
IT坊や

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