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ザ・セルのdrugmasterのレビュー・感想・評価

ザ・セル(2000年製作の映画)
3.9
殺人鬼カール・スターガーの内面世界はなかなかに狂気に富んだものではあるのだけど、その視覚的な表現には、まるで適量の毒が薬となるがごとく、背徳感に裏打ちされた高揚感のようなものを感じた。
シュルレアリスム、モダニズム、ゴシックパンク、フェティッシュ、アウトサイダーアート…などなど、様々な芸術形式、カルチャー、あるいはムーブメントの要素を含んだ、美しく混沌とした世界。
けれどもその反面現実世界では(凶悪な殺人鬼といえど)可哀想な一面もあって、特にバスタブの中から空のアスピリンの瓶に手を伸ばすところでは「ああ、それをいくら飲んだところで心の痛みは消せないのに…」と思ってしまった。

正直ストーリーはぶっとんでるけど、夢の中に潜るっていうアイディアはユニークだし、カール・スターガー以外の内面世界の映像美も見所で、終始画面に釘付けだった。
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