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イントゥ・ザ・ワイルドのambiorixのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)
4.1
相手の心の奥底に踏み込む勇気をどうやっても持てず、自分の側から一方的に付き合いを絶っていった結果、構ってくれる人は誰ひとりいなくなり、気づくと圧倒的な孤独の沼にはまって抜け出せなくなっている。家族とほぼ絶縁状態でかつ人間関係リセット症候群持ちの俺には主人公アレックスの生き様がとてもじゃないけど他人事とは思えなかった。かといってその性分を今さらどうすることもできないんだよな…。なのでラストの、「それでも俺は幸せだった!」つう紙を貼って死んでいくやり方も痛いほどわかってしまう。俺はあれ、本心で言ってるんじゃないと思うんだよね。虚勢だ。なぜって、ああでもして自分で自分の人生を肯定してやらないとあまりにもやりきれないから。
アレックスが「幸福が現実のものとなるのは、それを誰かと分かち合ったときだけだ」という真理にたどり着き、あれだけ憎んでいた両親を赦せるようになったのはまあ救いっちゃ救いなのかもしれない。けれども、そのことを悟ったとき、彼は誰かと何かを分かち合える場所にはいないし行けもしないわけで、悲しすぎるでしょ…。
いや、とにかくスゴい映画だった。単純にロードムービーとして見てもたいへん面白く、もう少し若ければ、というかせめてコロナさえなければ、アラスカに…とまではいかないものの今すぐバックパックを背負って国内のどこかしらに出掛けていたかもしれない程度にはガツンとやられました。
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