ワンダフルデイズモーニング

IZO 以蔵のワンダフルデイズモーニングのレビュー・感想・評価

IZO 以蔵(2004年製作の映画)
5.0
・いつのまにか大晦日といえば紅白もさることながら「ガキ使」になってしまいましたがこの映画を一言でいえば劇場版「笑ってはいけない」である。
次々と現れる大御所有名芸能人と不条理な境遇に、ダウンタウンたちは呑まれるが以蔵は全員斬るのである。予告編だけでも観てもらえませんか。友川かずき使ってんの渋すぎる。

・映画っていうかガキ使でありマンガなのだけど、こういう映画がかつてたしかに作られたという事実それこそが心を救ってくれることもある。

・「革命とはなんぞや?」
人を斬ること!
「ならば斬れぃ、斬って斬って斬りまくっちゃれい!」と言われたあの日からボクは殺人マシーンとして生きることにしたんです。志半ばで死んでも死なない!
…いや死んでいるのだ。
つまりこれは全部煉獄が舞台で、過去現在未来どの時空も全部煉獄なのだと思えば確かにそういう話であって全然難解とかではない気がする。
以蔵はなんか「目に見えないものを信じてる奴らを殺〜す!」と言っているが、実際以蔵は世界のすべてのものに襲いかかられているだけだ。わけわかんないよね。不条理よね。襲われたんだから斬るしかないだろう。殺人マシーンなわけだし。
斬ることそれが"革命"と設定された以蔵は、だから斬って斬って斬りまくるのだ。

かつて戦った侍のオバケを、
かつてめっちゃヤッた女のオバケを、
内田裕也のロボットを、
デコトラ走る道路で沖田総司と土方歳三を、
完全にスタジオの中に作られた寺で僧兵と僧侶と大僧正を、
裁判所で判事を、
洞窟でサラリーマンやってる鬼を、
林でママの樹木希林を、
結婚式で新郎新婦を、
小学校でPTAのおばさん達を、
荒野で剣豪を、
草叢で浪人の魔裟斗を、
江戸の町でSAT隊を、
夜の歌舞伎町で岡っ引きを、
コテコテなヤンキーの群れを、
新宿都庁前でサラリーマンの大群を、
さびれた遊園地で親子連れを、
松方弘樹率いるヤクザたちを、
僧兵の格好したボブ・ザップを、
日本兵のゾンビの群れを、
世界のシステムを司る片岡鶴太郎を、岡田真澄を、篠田三郎を、片岡鶴太郎を、ビートたけしを、

2時間斬って斬って斬りまくって刀をボロボロにした以蔵っていうかIZOその果てに迎えるオチが、「サヤ」であり、"生まれること"であり、すばらしい三行の言葉であるというのは、なんかうまくごまかされたような、それでも妙に感動的な気分になるのだから不思議ね。