ダイゴロー

アイ・アム・レジェンドのダイゴローのネタバレレビュー・内容・結末

アイ・アム・レジェンド(2007年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

今でも忘れられない、個人的には最も許せないリメイク作品です。
当時中学生だった私は父と一緒にこちらの映画を公開日に併せて鑑賞しました。原作小説を読み、深く感銘を受けていた作品だった為本当に楽しみにしてました。
なぜ原作小説である「アイアムレジェンド」のテーマやタイトルの意味さえも無意味になる設定改編をしたのか、全く理解できない内容です。

原作では人類が吸血ウィルスによって吸血鬼に変貌する中で、唯一生き残った人類最後の男が身を守りつつ吸血鬼退治をする内容です。
この作品のキモは取り残された人類である主人公が、実は吸血鬼側からは自分達が動けない昼の時間を狙って吸血鬼を殺し廻る「伝説の怪物」として扱われていた所にあります。結局のところ主人公は旧人類唯一の生き残り、新人類が誕生する中で我々を殺しに来る化け物だと恐れられていた訳ですね。
この立場の変化による価値観の逆転・新しい時代の訪れ・そしてそれらが意味する人類の敗北。このメインテーマがあるからこその「アイアムレジェンド」な訳で、そこは絶対にブレてはいけない物語の根幹なんです。

映画としては「アイアムレジェンド」はこれで3度目の映像化。最初は1964年に「地球最後の男」として、2度目は1971年「地球最後の男オメガマン」。そして今作である2007年「アイアムレジェンド」。
三回目ではある程度の変更はあっても仕方ない部分はあります。しかし吸血鬼はただのクリーチャー、意志疎通はおろか理性も無い化け物として扱い、主人公はその化け物から人類を救う為に奮闘しましたとさ。最後は血清を造り上げてたまたま見つけた生き残りの母子を救うために、特攻して彼らを救いました。最後は安全な集落にその血清を持ち帰ってめでたしめでたしって、ふざけてんのかと思いましたよ。
なんでこれを「アイアムレジェンド」でやったんだと当時中学生だった私もあまりのショックで呆然としてました。その後慌てて別パターンのEDも用意したらしいですが、余りにもお粗末過ぎる。

映像自体は本当に素晴らしかったです。特に荒廃した静寂のある街並みは美しさすら感じた程です。また不安な夜の過ごし方・日々の生活の描写等も丁寧で、特に愛犬が感染されて泣きながら主人公が手を掛ける際はこちらまで辛さが伝わってくる演技でした。恐らく「アイアムレジェンド」じゃなければまだ納得は出来たかもしれません。

ただ原作においての最も重要なポイントを台無しにしてしまう改編は決して認められない。原作を手掛けたリチャード・マシスンを侮辱する行為です。
出来が悪い・予算が足りないとかいうレベルの作品では無い。だからこそ原作改編だけは到底許しきれないものになってます。産み出された作品に罪は無いと思いますが、この作品だけは例外です。この存在のせいで「アイアムレジェンド」という偉大な作品の意図が伝わらないのは許せないです。
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