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儀式のmoumouentotuのネタバレレビュー・内容・結末

儀式(1971年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 昨日「儀式」を初めて見ました。想像以上に感動しました。素晴らしい出来の映画だと思いました。引き込む力がある。途中何度か涙があふれてきました。作品理解のための急所は私にとっては逃げた花嫁(良き日本の女性)とラスト、律子が照道の後を追って毒を飲み、遠い昔の満州男、照道、律子、節子が野球をするところが再現され、満州男が耳を地に付けて音を聞こうとする場面。それと冒頭の満州男とその母が「日本に捕まっ」たところ。登場人物の男たちの名前はその男の特徴を表しているのも面白い。また、忠の姿からはこの作品完成の前年の1970年に割腹自殺した三島由紀夫氏が思い浮かんできます。ということでこの作品は日本が進むべき道を逸れて行っていることへの警鐘だと思いました。そして、逃げた花嫁の面影、姿が憧憬を持って見事に心のうちに投影されてきます。
主役は「逃げた(隠れた)花嫁」です!!!  見てよかった。
 一つ重要なことに気づきました。満州男の父の遺書が出てきた後、決着をつけると言って一臣が節子をもてあそぶ場面(この映画のパンフなどに掲載されている有名な場面)はやはりこの映画を象徴していました。節子こそがあの『逃げた(隠れた・失われた)花嫁』に重なる存在(あるいは、逃げた花嫁の現実の姿)なのです。そしてあの場面で(じっと見ていた)照道が申し出て節子に「性」を教わる場面こそは本来ありうべき「生」の道へ引き返すための一つの転換点あるいは救いとなっているのだろう。そして、律子と照道のその後の姿が本来の尊ぶべき「生」を暗示しているのだろう。この映画の中では二人とも死んでしまいますが……
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