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暴力金脈のRenkonのレビュー・感想・評価

暴力金脈(1975年製作の映画)
4.0
(@新文芸坐 2014.11/19)

経営陣の弱みを握り、株主総会で暴れて金をせしめることを生業とする総会屋。
この話は、そんな総会屋の世界で成り上がろうとした一人の男の話である。

師匠との出会いをキッカケに株券や総会屋としての知識を引き継ぎ、一匹狼ながら株主総会で大暴れする松方。
地力を蓄えた松方は、遂に大都会東京へと進出を遂げるのであった。

梅辰や邦衛、ロン毛の拓ボンなど豪華キャストの中で一際貫禄を放っていたのは、東京の大物総会屋丹波哲郎だった。
口数は少なくとも「総会屋の奥座敷はじめっと湿ってる」とか「片脚は企業に、もう片方はヤクザにどっぷり浸かっている」など、ともかく名台詞をかっさらっていた。

総会屋という中々馴染みのないテーマでありながらも、コミカルな味付けで非常にとっつきやすくなっているのがこの作品のキモだろう。
冒頭の軍艦マーチ、ネクタイの柄、ニャンバーグなどのネタの数々は、完全にこちらを笑かせにきてる。
とはいえ中身は笠原和夫による綿密な取材(名刺を作って株主総会に潜入したほど)により、社会派映画として純度の高いモノに仕上がっている。
日本社会の暗部を抉りながらの最後のオチは、企業と総会屋の馴れ合いを"茶番"だと皮肉る、笠原のメッセージの様に受け取った。
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