ちょうどいい

ある結婚の風景のちょうどいいのレビュー・感想・評価

ある結婚の風景(1974年製作の映画)
4.3
全ての夫婦に捧げる剥き出しの会話劇。

かくも法律婚の虚無さを端的に描写した作品が70年代にあったとは。

映画にカテゴライズされているが、しっかり6話完結のドラマ。

男の駄言と女の至言のオンパレードも賞翫したいところ。

キレキレで当意即妙の舌禍トークが堪らない。

男は座りがよくいい塩梅の妻を求める。女は無性別のオトナを求める。この懸隔の描写がなんとも。

旗色が悪くなると口三味線で宥めすかす庇護欲剥き出しの夫。されればされるほど気色ばみ、生理的にガラガラピシャとしてしまうオトナの妻。

一言が足りない叙述的な夫。一言多い叙情的な妻。

言外を読めない「君はね…」と常に大上段に構える男と、「何で分かってくれないの?私が欲しいのは…」と一言欲しがる女。

後半のいささかの失速感は否めないが、ある意味夫婦の“理想”が見られて納得。

これ楽しめる人と一杯やりたいって感じに思える作品。