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ある結婚の風景のマのレビュー・感想・評価

ある結婚の風景(1974年製作の映画)
4.5
ちゃんと自分で立ち向かわなければ、あっけなく人生の大切な時間は赤の他人の為に費やされる。妻の母親が見せる表情は アンドリュー・ヘイの"さざなみ(45 Years)"のラストシーンに匹敵する程怖い。

保守的な夫は 自分で あまりにも姑息な方法で逃げ道を潰しながら切り出した離婚により確実に弱っていくのに対して 妻は 離婚を通して自分の人生をようやく 自分自身で生きることを学ぶ。
でも 最後に語る再婚した現在の夫との関係や、夢から表れる人生への確実な不安は ある意味 元の結婚生活のような振り出しに戻ってしまったようにも思える。でも、10年間の結婚生活と その後また10年間を経て得たものは 確かに存在する。理解して生きることと理解しないで生きることの違いは確実にある。

序盤の「アンタら夫婦は幸せそうだから 他の夫婦の地獄を見といた方がいい」とセリフでそのまま言う意地悪なスタートから、自然と 生きることへの苦しみと意味への模索に繋がるのが凄い。他者を通して自分の人生を模索する人々の話と考えると、この映画(ドラマ)は不思議と「5時間の夫婦喧嘩地獄」には見えない。
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