Runa

素晴らしき哉、人生!のRunaのレビュー・感想・評価

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)
4.5
なんて素敵な映画。
白黒なのに、今までで観た映画の中で群を抜く鮮やかさを感じました。

優しく、他人の幸せを優先してしまうジョージの姿は、時に何かしら損をした気分になる、人間の普遍的な哀しみや後悔の性を表していて。
「こんなはずじゃなかった」
「人生もうおしまいだ」
なんてことを、皆一度は思うわけです。

けど思いのほか、自分の言動は誰かを助けたり救ったりしているわけで。
特にジョージのような、相手の幸せを優先して善行を積んできた人の人生は、沢山の人の人生を豊かにしてきた。
結果数えきれない本当の友ができたと。
そしてそれはお金にも換えられない、最高の富なのだと、この映画は教えてくれます。

素敵なシーンは多々あれど、何もかもに絶望して橋の上で迷うジョージが、溺れてる人を見て何の迷いもなく冷たい川に飛び込む姿に泣いてしまいました。心が急に強く動くと、人は泣いてしまうんですね。
あとは終始声と表情が最高。旨すぎる。
皆に演説するシーンや、啖呵を切るシーン、妻に微笑みかけるシーンなど、表情豊かな主人公に、誰もが魅了されます。

最後のシーンは冒頭触れたように、
白黒を感じさせない本物の華やかさ。
「この街で一番、豊かな男に!」
思わず一緒に、杯を上げてしまいそう。
クリスマスにもう一度見たい、不朽の名作でした。
素晴らしき映画に、乾杯!
Runa

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