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ヒーローショーのsyuheiのレビュー・感想・評価

ヒーローショー(2010年製作の映画)
4.0
井筒バイオレンスはクセになる。2010年の井筒和幸監督作品。

売れない芸人・鈴木ユウキは元相方の誘いでヒーローショーの劇団に入り糊口をしのぐ生活を送る。そんなある日、劇団内で痴話喧嘩が勃発。ヤクザと繋がりのある半グレ男が迷惑料を脅し取ろうと企むが、今度は寝取った男が相談した相手がさらに元自衛官の男たちを連れてくる。血と暴力のショーが始まる。

ガキ帝国から30年後、井筒和幸監督が描くバイオレンス映画。主演の芸人・鈴木ユウキと、キレたら止まらない元自衛官・石川勇気はどちらもジャルジャルというお笑いコンビというからますますガキ帝国のセルフオマージュとも取れる。他の俳優たちもキャラがしっかり立っており、中盤までを盛り上げる。

奇妙にもつれた人間関係が凄まじい暴力行為にエスカレートし、引き返せない一線を超えてしまう前半から中盤までの吸引力は見事で、井筒監督の面目躍如。中盤以降の展開がややダレるのが残念だが、見ごたえは十分。特に石川勇気を演じた後藤淳平氏をこの役にフックアップした俳優選定眼はすごい。

四半世紀にわたってテレビを見ておらず、特にお笑いには全く疎いため、ジャルジャルというコンビも本作で初めて知ったんやけど、この2人の存在感が物語に背骨をしっかり通していた。後藤淳平氏が演じる石川勇気は本当に魅力的で、長く印象に残るであろう屈指のキャラクター。

だからこそ中盤以降の間延び感がもったいない。石川勇気というキャラに厚みを持たせようとしたんやろけど、ハッキリ言ってうまくいってない。中途半端なメロドラマにするくらいなら"暴力沙汰"の後始末にフォーカスして、あのろくでもない連中がきっちりツケを払わされる顛末を描いたほうがよかった。

本作は実際に大阪で起った暴行殺人事件に取材している。絶対かかわりあいになりたくない、暴力発動の閾値が極端に低い人間たち。今回も"はたらくくるま"が活躍する。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%9B%86%E5%9B%A3%E6%9A%B4%E8%A1%8C%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

https://twitter.com/syuhei/status/1484174216450940928
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