BK477

ダーティハリー3のBK477のレビュー・感想・評価

ダーティハリー3(1976年製作の映画)
3.4
監督も脚本も変わった三作目。
2も3も「ただおもんない映画」というのが率直な感想。

本作は1973年に米軍のベトナム撤退が決定し、事実上の敗戦後の作品。
やはりこの時代はベトナム戦争の影響が映画全体に渡って浸透している。

今度の敵は、本当に帰還兵が巻き起こす大事件。名前からすると、どうも極左ゲリラ(政治犯)のようだが、ゲリラ達はヒッピーのような格好をしている。 ヒッピーと左翼は異なる存在であり、この描き方には悪い意味で作為的なものを感じた。

ただ、ベトナム戦争のために乱造されたM16やLAWなど米軍の武器を悪党が使うという構図は反戦的な側面もあってよい。

今作の目玉?というか主なところは、新米の女性警官とのバディである。

ハリーというヒーロー像は、1作目から通して保守的な側面を匂わせるものでゲイや女性に対する当たりが強い。 差別主義者のようにも振る舞うが、実は「ゲイや女性であっても警官として有能ならば”どうでもいい”」という考え方がハリーにはある事が2作目から伺える。この辺は、当時の米国男性の好むであろう保守的なヒーロー像を崩さずに、粒立てない脚本家のうまい手腕。

保守的(右)な主人公と、政治犯(左)の悪役という、あからさまな対比が興味深いものの、終盤のけっこう雑な展開は2から相変わらずで、エンタメとしてはあまり盛り上がらなかった…

でも、この当時から米国の脚本家たちは、LGBTQや政治的な右左など多方面への配慮に苦慮している事が伺える作品であった。

シリーズの低迷故か、ここで一旦シリーズは終わる。

余談
個人的には、実は1作目から皆勤賞の、ハリーの同僚フランクが好きだった。
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