三樹夫

インファナル・アフェアの三樹夫のレビュー・感想・評価

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)
4.0
警察は潜入者をマフィアに送り込み、一方でマフィアも警察に潜入者を送り込んでいた。両陣営で犬は誰なのかと探り合いになる潜入捜査もの。THEエンタメという方向で作られた映画でエンタメ度の高い娯楽作品になっている。この映画の特徴は、観ている者は誰が警察の犬で、誰がマフィアの犬かということを分かった上で視聴しているという点にある。なのでミステリーではなくサスペンスといった具合で、どのようにして相手の犬を探り当てるのか、また犬であることがバレそうになるサスペンスや、知り得た情報をどのようにしてボスに伝えるかということが楽しさになっている。
ヤンとラウの両者とも潜入先で出世し、評価も高く、人望もあるという、転職した方がよくない?というぐらいに潜入先に馴染んでいる。マフィア側からの潜入者ラウにいたっては能力もそうだがメンタリティとしても警察の側にありこのまま警官として生きたいと思っている。また警察からの潜入者ヤンは部下から絶大な信頼を得ており、ヤン自身も逮捕すべき犯罪者と単純に部下を切り捨てられないほど愛着を持っているという苦悩がある。

監督のアンドリュー・ラウは撮影監督から監督になったこともあり、映像に凝られているというか、ちょい前のスタイリッシュな感じの画だなと思い、ダサいっちゃダサいのだが、香港で蠢く野良犬たちを描くにあたってマッチしているというか、泥臭い感じがしていい雰囲気を醸し出している。晴天の中、香港の海とビル群をバックに屋上で男2人の画もカッコつけといえなくもないが、ロケーションはいいし確実に中二心を刺激される。
トニー・レオンやアンディ・ラウと香港映画のイケメン俳優ツートップ主演の映画の中、警察側の上司はアンソニー・ウォンなのだが、キリっとした眉毛にまつ毛の多い鋭い目つきと目元だけやたら男前で、目元に限っていえば作中の誰よりも男前だった。警視が反社みたいなグラサンかけて外出するのシビれる。
無間地獄とは絶えることのない苦しみを受ける地獄のことで、無間地獄においては長寿であることが最大の苦しみという、生き残ってしまうことが最大の苦しみなのであった。
三樹夫

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