スローモーション男

はなればなれにのスローモーション男のレビュー・感想・評価

はなればなれに(1964年製作の映画)
5.0
 高校1年のときから、ずっと観たかった作品。どこのGEOにもTSUTAYAにもなく、お取り寄せすらされていない。
 ゴダール特集でこの時がやっときた…。待ったかいがあった…。

 今のところゴダールの最高傑作になった!
 満点💯にしたいが、前半乗れず寝落ち…。ゴダールは作品に乗るのに時間を要するのでいつも前半で寝落ちしてしまう…。クソ!機会があればまた観たい。

 言わずもがな、ゴダールがB級犯罪小説やノワール映画にオマージュを捧げた作品。アメリカでは本作がゴダールの最高傑作というファンや批評家が多いそうです。
 
 2人の男アラチュールとフランツ、1人の女オディールが豪邸の家の大金を狙って強盗計画をする。
 
 序盤は楽しくワイワイと3人の生き様が垣間見れる。『突然、炎のごとく』『冒険者たち』のような男二人と女一人の三角関係は観てて楽しい❗
 そして、有名なカフェでの会話シーン。話すことないから1分間沈黙しようといって環境音もすべて消えちゃう‼️
ゴダールの遊び心、ナレーションでここは映像で見せようとか括弧付けて3人の感情を説明しようとか映画使って遊んでる。
 それからあの有名なダンスシーン『パルプ・フィクション』でタランティーノも模倣してたやつ。
 あとはルーブル美術館を走る3人のゲリラ撮影シーンも❗

 後半は強盗作戦するんだけど、グダグダしてて笑える。でも構図とかキマッテるんだよなぁ。
 
 でもこれもアンナ・カリーナへのラブレター映画。うつ病で自殺未遂した彼女のためにゴダールが作ったみたい。だからこのアンナ・カリーナは楽しそう。
 そしてずっと暗い性格で口下手でアメリカ文化かじってるフランツが社交的でモテるアルチュールに勝利する。
 フランツはまさしくゴダールなんですよ❗
 最後は幸せな結末。ゴダールにしては珍しくハッピーエンド。
 
 フランツのセリフ「人はどうして一体にならない。みんな別々に生き、はなればなれになる」というのが心にめちゃくちゃ響いた。
 人間の本質を貫くセリフを書けるゴダールに拍手。最初は難解映画しか撮れないと思って嫌ってたけど、いつのまにか大好きになった監督です!

ゴダール個人的ベスト
1位『はなればなれに』
2位『気狂いピエロ』
3位『勝手にしやがれ』
4位『女と男のいる舗道』
5位『小さな兵隊』