このレビューはネタバレを含みます
ゴダールの中でも群を抜いてコミカルな作品。力の抜け感が、なんとも言えずちょうどよい。
アンナ・カリーナに対するゴダールのまとまり感は、本作が一番な気もする。
「気狂いピエロ」のようなかっちり枠に抑えた感じもなく、「小さな兵隊」のような妙な辿々しさもない。
無邪気でどこかあどけないキッチュな田舎娘を、さりげなく演じているカリーナと変な距離感を作らないゴダール。
撮る側も撮られる側も、自然体。
運転中の会話劇を、車中前面から捉える撮影技法。どういう仕組みなのかめちゃくちゃ気になる。60年代パリの運転の荒さには、笑えた。
気持ちが空中分解しながらも、
ただただ陽気な3人組のダンスシーンを観て、何故だか込み上げてくるものがあった。
楽しむ時は一緒、心の中は離れ離れ。
いつだってそんなものだ。